<『史上最低の侵略』その45>
MF
take-45
December 1st 13:10
「こ、これはどういうことだ?」
「なぜだ、なぜ動きが読めぬ!」
モニターの前で焦る双子のサロメ星人たちだが、間髪を入れず突っ込んでくるゼロの姿にオスカーが叫ぶ。
「接近戦は不利だ。とにかく離れろ」
コマンドを受け左右に飛び退き宙返りして着地した偽者たちだが、それを見たゼロのこめかみにぶっとい青筋が浮き上がる!
>な、なんだてめえら! 後ろは赤一色じゃねえかっ<
スピーカーも破れんばかりのゼロの怒声に思わず固まる侵略者たちだが、やがてそのやせ細った体がわなわなと震え始める。
「よ、よくも人が気にしていることを……」
「この生き恥が貴様にわかってたまるか!」
>ざけんじゃねえ! 手ェ抜きやがってっ<
”落ち着けゼロ! コントロールが乱れる”
ソラのその声は、だがサロメ星人たちはもちろんのこと、頭に血が上ったゼロにもまったく届いていなかった。雄叫びを上げて激突した一人と二人の戦士たちの繰り広げる乱戦は、その巨大さゆえに地上から見ればひたすら壮絶の一言だったが、それも空中から見れば……。
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「だあっ! ガキの喧嘩やがな!」
「二対一じゃ殴られ損じゃないの」
「とにかくここは引き離さないと」
三機の戦闘機が足元に放つ攻撃に、ようやく三方に跳び退いた一人と二人のウルトラ戦士たちだが、またも殴りかかろうとしたそのとき、凄まじい音とともに彼方の巨大な廃ビルが一気に崩れ落ちる!
「な、なにっ?」
その場の全員の目が一斉にそっちを向いたとき、もうもうたる砂煙の彼方から現れる巨大な背中! 足を抱えうずくまっているにもかかわらず、それはゼロや偽物たちでさえも見上げるほどの巨大さである!
そして動いた。山のようなその巨体が身じろぎし、片膝をつき立ち上がり始めた。黄色に黒の虎縞模様に塗り分けられた、法被めいた形の背中が見る見るうちに雲を突き、ゆっくり広げられる両の手には信じられないほど巨大な黄色いメガホンらしき物体。そして遂にもたげられた、巨大ながらもどこかで見たことのある特徴のある短髪の後頭部!
「あ、アホなぁっ」
「ま、まさかっ!」
「そ、そんなっ!」
戦闘機の三人が絶句する中、それが地響きをたてつつこちらへ向き直る。あちこちいびつでデッサンも怪しい、漫画というよりむしろ子供の落書きに近いものながら、その正体がついに露わになる!
そしてその衝撃は、双子の侵略者よりゼロやB・i・R・Dのほうがはるかに大きかった。なぜならそれは、あまりにも彼らにとって馴染み深すぎる人物の戯画だったから。完全に放心状態で見上げるゼロや三機の戦闘機の耳に突如として響く大ボリュームの六甲おろし! そしてそれさえも圧する巨大な声が、目の当たりにしてなお信じられぬそれ自身の正体を宣告する。ゼロたちの優に数十倍もの大きさで夢野市のどこからも見えそうなそれが、あたかも全住民に己が存在を知らしめようとするがごとく!
「タ~~~~カ~~~~フ~~~~ミ~~~~!!!!」
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コメント
もも
2022年 02月03日 10:33
お疲れ様でしたー
ふしじろ もひと
2022年 02月03日 20:08
もも様こんばんは。これぞ食い気にとことんたきつけられたポンポス星人たちのみが示しうる底力の真価です(汗)