＜『史上最低の侵略』その２０＞
Ａ

take-20

OCTOBER 18TH AM 00:30

　かくてソラが恋人であるウミと共に眠り、タカフミが溜め息つきつつ財布を握りしめていた頃、かつて宇宙船を作っていた旧七海重工第二工場の地下深く、作業ロボットが休むことなく巨大な物体を接合していくのを二人の男が見ていた。

「ドリアン、どうだ？」
「順調だ兄者。これなら二ヶ月と待たずに全て完成する」

　鏡写しのごとき美貌の双子。体のラインをタイトなシルエットを強調した濃紺の装束も、さながら二つの影のよう。モデルばりの美貌にスタイリッシュな容姿のこの二人の青年こそ、Ｂ・ｉ・Ｒ・Ｄジャパンが探している謎の侵略者にしてヘナチョコ五人組の雇い主である。

「いよいよだ。ようやく父上の仇を討つことができる」
「このような未開の野蛮な星で、あの憎むべきウルトラセブンに倒された父上よ。ついにご無念を晴らすことができます」

　そう、かつてかの深紅の高潔なる勇者ウルトラセブンによって侵略の野望もろとも倒されたサロメ星人。この双子の麗人こそその眷属にほかならない。

「憎きウルトラセブンよ。貴様の倅の首を光の国へ叩きつけてやるわ！」
「ようやくだ。父上の仇を討つ日は近い！」

　彼等がいるのは、かつて宇宙船を作っていた巨大ドックのピットの底だ。そしていまやその眼前に、神殿の柱のように屹立する色も形も異なる巨大な３対の脚！

　一つはかつてウルトラマンメビウスが倒した暗黒大皇帝の配下インペライザーの魁偉な姿。その隣に聳えるのは彼らが仇と憎む高潔な戦士、ウルトラセブンの真紅の姿。

　そしてあろうことか、最後に控える一体こそは、真紅の英雄の息子にして現在の地球の守り手、ウルトラマンゼロだ！

　だがウミの攻勢に轟沈させられ気絶したままのウルトラ一族の若者には、自身を狙うそんな陰謀を知るすべもなかったのだ。



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