ふしじろ もひとさんの日記

2021年 03月17日 21:17

私家版(地下版?)ゴジラ案:その32

(Web全体に公開)

*強いられた憎悪

 思いもかけぬ機龍の反応に呆気にとられかけた省次だったが、次の瞬間そんなものは脳裏から消し飛んだ。ビオランテが怪獣にとっては浅瀬でしかない港の底に張った根を次々に引き抜くや、ゴジラの胸から肩に至る部位をも絡め取り、溶解液による攻撃を倍加したのだ。その光景に機龍の脳波もまた倍する怒気と焦りに染まりきり、ついには手動制御による戒めにもかかわらず各部が痙攣めいた微動を見せ始め、同時にヘルメットのバイザーに映る電力残量が一気に降下し始める! やむなく機龍の原子炉を給電モードで起動する省次。機密ゆえに本来は使用できない機能であるが、ここで機龍を完全停止させてはどんな手も打てなくなってしまう! 同時に機龍の機能も一部を強制停止させ各部の微動を抑え込み、ようやく回復し始める電力残量。
 だがそんな僅かな目を離した間にさえ、黒き浸食は英理加の胸元半ばまで及んでいた。そんな自身の変貌への焦りをまるでゴジラに叩きつけるかのごとく残った根をついには首にまで巻き付け締め上げる獣化しつつある女。あまりにも膨大な根に巨大な樽のごとき塊と成り果てとっくに身動きすらできぬゴジラ。だがそのとき、ゴジラを灼く溶解液の煙がしだいに薄れ始める! 驚愕を隠せぬ緑の顔が、苦鳴を噛み殺しつつ呻く。
「おのれ、溶解、液に、耐性、を……っ」
 それを見聞きする若者の脳裏に癌細胞のイメージが浮かんだ。水爆を浴びたゴジラが死なずにすんだのは、本来は世代を経なければ獲得できぬ新たな形質や能力を、超絶的な速度でそれがもたらし変貌させたからなのだろう。だがそれによって繋ぎ止められた生は、水爆の業火の責めしか約束せぬものだったのだ。人間の手で無限地獄に落とされた元の姿も不明な巨獣。そしてそうとは知らず黒き炎を娘と己が身へと取り込んでしまった英理加。同じ業火に苛まれる者同士がさらに傷つけあう、そうせずにはおれぬ互いの姿のあまりの痛ましさ。なにより相手の動きを完全に封じた上でなお攻撃の手を緩めぬ憑かれたような英理加の、あたかも己を駆り立てるごとき姿にこそ叫ばずにいられぬ省次!
「やめてください白神さん、ゴジラを無理やり憎むのは!」
 緑の顔が目を見開いたその瞬間、ヘルメットからまたも伝わるさらなる驚愕!


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コメント

もも

2021年 03月18日 00:24

アップ ありがとうございます

ふしじろ もひと

2021年 03月18日 05:07

もも様おはようございます。まだいくつも難所がありますが、コツコツ進めていきたく思います。

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