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”もともと鈍重だったエレキングの瞬発力を改良したハイパー・エレキングの特性を受け継いでいるのか？”
「手癖の悪さは健在ってわけかよ。ったく、ロクでもねえヤロウだぜ」
「しかも相手はビースト、下手に捕まったら同化されるわ。接近戦は私に任せて離れたところから攻撃して！」「おうっ！」
　ワイドショットを放つゼロ。だが体表の稲妻模様を白く光らせ無効化する巨獣。その一瞬の応酬の隙を突き、巨大な怪物に迫る阿修羅。だが稲妻を纏わせた尾に捕まり、激しい電撃を浴びせられる！
”ヒロコさん！”「ねーちゃん！」
　すかさず投げるスラッガーを、だがもう１本の尾が打ち払う。そのとき、鬼女の体から吹き出る黒いオーラ。あわてて尾を振りその身を地面に叩きつけるビースト。相手が立ち上がるいとまも与えず、３つの口から吐き出される熱線！
「させるかっ」
　黒い阿修羅を庇って飛び込みバリアで受けるゼロ。だが膨大なエネルギーに立ち上がった阿修羅ともどもバリアごと吹き飛ばされ、背後のビルに叩きつけられてしまう。瓦礫を巻き上げ飛び上がる足元に集中した３本の熱線が地面を瞬時に煮え立たせる！
「くっ、とんでもねえパワーだぜ！」
「あいつの動きを封じるか、せめて攻撃の威力だけでも削がないと！」
　そのとき、ソラの思念が呼びかける。
”あいつが熱線を吐くとき、必ず背中の刺が虹色に光るだろう。あれは間違いなく熱線と関係がある。あるいはエレキング本来の放電光線を強化する回路の一部かも”
「なるほど、だったらあれを壊せば」
「試してみる価値はあるわね。だったら私があいつの気をそらすわ！」
　いいあうところへ再び撃ち込まれる熱線。上空へ逃れるゼロと３本の火線をかい潜るように螺旋を描き正面に飛び出す蜘蛛のごとき鬼。黒いオーラを吹き出しながら急迫する阿修羅にあわてて熱線を吐き散らす３本の首。上空に逃れる影をあまりの速さに衝撃波としか見えぬ２本の尾が叩き落とす。強烈な力に地面に背をめり込ませてもがく阿修羅めがけ再び叩きつけられる刺だらけの尾。地面に縫いつけられた蜘蛛のような姿に容赦なく浴びせられる電撃！　全身が白熱する勢いで放電する巨体の背から、その光さえ圧する虹の色が空閉ざす闇を染め上げる！
「消し炭にしてくれるわっ」
　叫ぶ間も牙の間からあふれる膨大な白熱光が一気に膨れあがる瞬間、かけ声とともに上空から２本のスラッガーをまとめた刃のブーメランを投げつけるゼロ。とっさに上を向く右の首からの熱線に灼熱する刃が上あごを斬り飛ばし背筋の刺の列をなで切りにする。爆発炎上し瞬時に炭化する首。火花を放ち沈黙する発光回路。だがそれらを圧する轟音と共に天を貫く巨大な火柱！
「ねーちゃん！」”ヒロコさんっ”
　叫ぶ１つの体の２人の若者たちの眼前で、白い炎の中に炭化し崩れゆく阿修羅の姿！　ややあって哄笑し始める巨大な怪物。

「……や、やった、やったぞ。ついにあやつを仕止めたぞ！」
「テメエ！　絶対に許さねえっ」
　怒りにまかせ刃のブーメランを手に打ちかかり、左の首を刎ねるゼロ。だが落ちた首は瞬時に再生、牙を剥いて嘲笑する。
「無駄だ。きさまが我が炎を消したのだからな」
　デスマスクの目を欲望にぎらつかせるや邪悪なオーラを吹き出しつつ、のしかかるように迫る醜悪な巨獣。
「あやつさえいなければ存分にきさまを料理できるというもの。観念して我に喰われよ」
「ふざけるんじゃねえ！」
　激しい怒りを光の闘気となし襲い来る邪気を払いつつ、巨大な敵に再び挑みかかる若きウルトラ戦士。だがパワーの差はあまりにも大きく、じりじりと追い詰められてゆく。
「あかん、ゼロを援護するで！」
　巨獣の背後から攻撃するウィング・オブ・ホープの３機だが、稲妻模様が光を放つや打ち消される弾幕。低空を旋回する３機を睨みつける左の首！
「小うるさい蚊トンボどもめが！」
　いうなり放電光線を乱射し始めるビースト。熱線のときのような前触れもなく乱れ撃ちされる光弾を避けるのが精一杯の３機。たちまち周囲のビルが外れた光弾に撃ち抜かれ、巨大な瓦礫が姿を消したままのシルバーフォックスの上に崩れ落ちる！
「危ない！」
　レオンの急バックで直撃こそ免れたものの、ボンネットを押し潰された衝撃でテラたち３人は気絶する！