８０年代前半、キリスト教系団体の福祉キャンプで訪れた、長野県の知的障碍者施設。園長夫妻を親に見立てて、職員と園生の「お父さん、お母さん、おはようございます」のあいさつで朝が始まる。かつての大家族制を模したように。島田療育園でもありえなかったこと。それで園生と職員は幸せなのか。「職員はすぐやめる」と聞いたことがある。当時の園生はそこに住むしか選択肢はない以上、幸不幸の判別は本人たちはできないが。
　因みに、その教派は明治から家庭志向が強く、戦後も天皇を日本のお父さんと思う人たちもかなりいる。牧師含め、その施設についても、「極めて家庭的で愛がある良い施設。愛は家庭的なものから作られる」と言っていたが、なぜか、僕は島田以上の違和感をその施設と教会に持ち、どちらも早くやめている。今思うと、大家族制を模したものが僕には合わなかったと。また、その頃はその教派は離婚が増え、大変になっていた。結婚後、家庭の愛の幻覚から覚める人たちが多いと言おうか。
　その朝の挨拶を思い出すと、教祖を父母に見立てる統一教会も連想されるわけである。