<『史上最低の侵略』その47>
MF
take-47
December 1st 13:25
「だあっウザい! くるんじゃねえっ」
いいつつ迫る足の下から跳び退くゼロだったが、着地しかけたところへ絶妙の時間差で撃ち込まれる二筋の光線技をぎりぎりでかわすものの、巨大タカフミの足元へ押し返されたことでまたも地響きとともに降り注ぐ怒濤のガラクタに直撃されてしまう! そんな若き戦士に偽物たちの口を借り、双子のサロメ星人たちがいい放つ。
「どうやらそやつも貴様になにか恨みでもあるものと見たぞ」
「ならば助太刀させていただく。いざ尋常に討たれるがいい」
「ふ、ふざけんじゃねえテメエらっ」
負けじといい返すゼロではあったが、首までゴミに埋もれた姿ではイマイチ様にならないのも否めない。再び撃ち込まれる光線を飛び上がりざまに巻き上げたガラクタを盾に防ぎつつ、一気に巨大タカフミに迫るゼロ!
「ぶっ壊してやらあデカブツめ!」
”だめだゼロ。それじゃこの一帯がゴミの山脈と化してしまう。街はなにがなんでも守らなければっ”
「だああっうっとおしい!」
毒づきながらもバンバン撃ち込まれる偽物たちの光線をかわしつつ、巨大タカフミが足を降ろさないようにちょこまか動き回るのを余儀なくされる一つの体の二人の若者。なにしろ地面を踏む振動だけでガラクタの山ができるのだから、これ以上街の被害を出すわけにはいかない。おかげで鈍重な敵は狙いを定めきれず、片足ケンケン状態でその場をぐるぐる回っているが、偽物たちがそこへ遠慮なく光線技を撃ち込んでくるせいで、結果的にゼロが巨大タカフミをサロメの光線からあるいはスラッガーで、そしてバリアで守らざるを得ない状況になっていた。だがその間にも、その巨体からは絶え間なくゴミが降り注ぎ、じわじわとあたりを埋め尽くしてゆく。たまりかねたゼロの発した怒号はもはや魂の叫びそのものだった。
「馬鹿ヤローーっ、こんな甘々な強度計算しやがって!」
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「計算は間違っていないはずですが……」
検算を終えたドースが首をひねるが、その算式自体が粉飾用に作られているのだからまともな数字など出るはずがない。そんなドースに副官メースがジト目を向ける。
「だったらなぜこんなに部品が落ちるのよ?」
「やだなあ。いつものことじゃないですか。これまで部品がバラけなかったロボットが一台でもありましたか?」
事情を知らぬ地球人の耳には冗談とも居直りともつかぬものでしかないその言葉。だが常敗軍団たる彼らだからこそ、積み重ねられた実績のみが持ちうるその重みを感じることが可能なのだ。そしてそんな部下たちの志気をいやがうえにも鼓舞せずにおかぬ偉大なる首魁ボースの大喝が轟く!
「ええい惑うな皆の者。見ろ、ワシらはけしからぬ偽ゼロを追いつめつつあるではないか! ここはなにがなんでもセブンやゼロと共闘しつつ、あくまでアニキ様の手柄として偽物を叩き潰すのだ! その時こそ邪悪な真柴リーダーは失墜し、ワシらはアニキ様に迎えられ三百六十五日三度三度の旨いメシにありつくことができるのだぁあっ」
その一声にたちまちメシ以外のことなど頭から吹っ飛んだ部下たちが、感涙にむせびつつ口々に叫ぶ!
「お、仰せのとおりですボース様!」
「大切なことを見失うところでした」
「メシさえ食えりゃ結果オーライ!」
「なにがなんでもアニキ様ですねっ」
それらの声に感動の面持ちで深々と頷くや、侵略者を自認する首領は矮小な戦略目標を達成すべくここを先途と命令する!
「さあ! あの偽物めを今度こそ踏みつぶせ!」
その号令に応じ偽戦士たちとの応酬で手一杯のゼロの頭上高く持ち上げられる巨大な右足。だが目一杯持ち上がったまさにその時、ガクンという振動とともに動きが止まるその巨体! なだれ落ちる部品が哀れなゼロにガンガンぶち当たるその上空で、巨大メガホンを握る両腕を広げ右足を高く持ち上げた不安定な姿勢でゆ~らゆらと揺らぐラクガキめいた巨大ロボット。それはほんのわずかな衝撃で今にも倒れそうな危うさである。
「こ、これは何事だっ」
画面が消えた14型テレビの操作盤と格闘していたドースが、やがて告げた。
「……メインコンピュータのフリーズです」
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「なんだ? 急に止まりやがった」
大空高く揺らぐ巨大な足の裏を見上げつつ肩で息をするゼロをサロメ星人たちが挑発する。
「どうした、息が上がってるぞ」
「しょせん生身ではそこまでか」
”代わろうゼロ。奴ら相手ならその方が有利だ”
”ああ、頼むぜ”
偽物たちに身構えつつ、ソラは牽制をかねて問いかける。
「おまえたち、なぜゼロ……俺をつけ狙う?」
「知れたことよ。セブンめに対する復讐だ!」
「その首貴様の親父に叩きつけてやるわぁっ」
「な、なんだってぇえーっ」
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コメント
もも
2022年 02月05日 10:59
ごちゃごちゃですね
ふしじろ もひと
2022年 02月05日 14:54
もも様こんにちは。
ポンポスが乱入したばかりにもうボロボロです(大汗)