<『史上最低の侵略』その41>
MF
take-41
December 1st 12:20
動きの止まったインペライザーに対し、胸のエナジーコアから渾身の光線技を放つゼロ。サヤの愛機カマエルが放つブレージングカーニバルの劫火も加わり、さしもの巨体も一気に炎に包まれる! だが……。
「くそ! なぜ着火しねえっ」
「セミライブメタルって、こんなに燃えにくい金属なのか?」
「いや、本来ならとっくに焼き尽くせているはずだ。なにかコーティングでもかけてやがるな」
そのとき、静止していたインペライザーが両腕をゆっくり上げ始める。
「まずい、チップが自己修復されかけている!」
「野郎ォオオオーーっ」
ここを先途と身をよじり振り絞ったエネルギーを再起動しつつある機械獣に叩きつけるゼロ。一歩踏み出した破壊神が、ついに大爆発を起こして燃え上がる! 凄まじい爆風になぎ倒される廃ビル群。さすがにがくりと片膝を落とすゼロの、そしてソラの脳裏に届く消耗を隠せぬ思念の声。
”……ごめんなさい。でも少し休まないと、もうパワーの転送はできないわ”
”大丈夫かい、ウミ”
「すまねえ、無理させちまったな……」
そんなやりとりを交わす間にようやく鎮火してゆく炎の中から姿を現す黒こげの残骸。そのただ中に黒一色のベルトめいた巨大なリングが焼け残り、空に向かって突き立っている。闇のような黒で塗りつぶされているため目立たないが、丸いメダルのようなものがずらりと並ぶ、どこかチャンピオンベルトを想わせなくもない形状である。
「なんであれだけ燃え残っとるんや?」
「それだけ耐火性能が高いってことね」
「あるいはあれがコーティングに使われていた素材かも」
いいつつ旋回する三機の真下で、ゼロもまた一人ごちる。
「くそ……これはオレも知らねえ物質だ」
そんなゼロの中で、突如として叫ぶソラ!
”材質はともかく、この形には見覚えがある。アーカイブUGにある偽ウルトラセブンのベルトそっくりだ。だとすると、相手はもしやサロメ星人!”
「な、なに? 偽セブンだあ?」
思いもよらぬ言葉に愕然とするゼロ。そんなウルトラ一族の若者を地の底から響くような声が嘲笑する。
「ようやく気づいたか愚か者め。確かに我らはサロメ星人。その金属こそ我がサロメの科学で磨きに磨いた宇宙超合金サロマイトEX4だ。セミライブメタルにコーティングしただけでどれほど耐火性がアップするかは見てのとおり。そして次の相手はこれを材料に作られているのだ。もはや光線技など通用せぬわ!」
”では、まさかおまえたちの目的は!”
「そうだ、我らが父に仇なしたウルトラセブンへの復讐だ!」
「な、なんだとオっ?」
驚愕するゼロに、二つの声が叫び返す!
「今こそ父上の無念を晴らさん。出でよ! 我らが血と汗と涙の結晶よ! 打倒ウルトラ一族の時は今ぞ!」
瞬間、インペライザーの出現した穴から跳び出る二つの影! 肩で息する若き地球の守護者を大地を踏みしめ睥睨するは鏡像のごときウルトラセブン、そしてウルトラマンゼロの姿持つ超合金の巨人たちに他ならぬ!
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コメント
もも
2022年 01月30日 02:45
疲れちゃいますねー
ふしじろ もひと
2022年 01月30日 08:17
もも様おはようございます。
相手の体力を削っておいて、光線技が通じないことを見せつけた上で、しかもそれだけの強敵が2体という、メンタル的にも実に極悪なやり口だったり……(汗)