＜『史上最低の侵略』その３９＞
ＭＦ

take-39

December 1st 11:45

「Ｂ・ｉ・Ｒ・Ｄの犬め、鳴き叫べ！」
「さあ呼べ！　憎きセブンの小倅をっ」
　オスカーとドリアンが絶叫するや、巨大なモニターを圧するインペライザーが放つ火線で瞬時に廃ビル群が砕け散る！　瓦礫ともうもうたる砂埃の彼方に霞む特殊車両に向けて鋼の魔神の歩を進めつつ、やつれ果てた侵略者は削げた頬を歪め哄笑する。
「脅えよ、そして縋るがいい。ウルトラ一族の青二才めに！」

　瞬間、天高く出現した光の玉が黒き破壊神の背後に降り立ち、振り向いた機械獣との間合いを計りつつも挑発する。しばし睨み合った後、風を巻き駆け寄るや壁のごとき難敵に真っ向から組み付く若き地球の守護者を、だが双子の侵略者はあざ笑う。
「血の気の多い若造め！　力押しでそいつに勝てるものか」
「楽に死ねるなどと思うな。見せ場はまだまだ先なのだ！」
　パワー全開で押し込むや、たまらず上空へ逃れる若きウルトラ戦士めがけて撃ち出す両手の刃。体を捻って蹴りつけるその身を鎖でからめ取るや撃ち込む凄まじい電撃に、さしもの超人も煙を全身から噴き上げ苦悶する。
　そのときＢ・ｉ・Ｒ・Ｄジャパンの誇る「希望のツバサ」が飛来するや鎖に向けてミサイルを放つが、黒き機神は顔面の砲門を開きこれを撃破。だがその隙に鋼鉄の霊鳥は鋭く旋回するや絶対零度の大鎌を真っ向から叩きつける。頭から両断された機械獣の足下から逃れ距離を取るゼロの眼前で、けれど元の形にじわりと戻る巨大ロボット。ようやく立ち上がり身構えるゼロを、そして上空に向け大きく旋回する「希望のツバサ」をサロメ星人たちが嘲笑する。
「どうした？　手品はそこまでか？」
「地球人ごときの出番ではないわ！」
　そのとき二人の耳に届くアラーム音。ドリアンのタブレットがアリーナから送られたデータを傍受したのだ。意外そうな表情で弟は兄を振り返る。
「あれが本物ではないことにもう気づいたようだ」
「ほう？　ならばヒントの一つも出してやらねば」

　いいつつオスカーも自分のポケットからタブレットを取り出すと、黒き破壊神を通じゼロや仲間たちを挑発する。
「気づいたとは大したものだ。確かにこいつはただのインペライザーではない。対ウルトラマン用に攻撃力を強化したものだ」
　たちまち「希望のツバサ」から応じる真柴リーダーの声。
「おまえたちは何者か。なんの目的で地球を侵略するのか」
「侵略だと？　こんな未開の星になどそんな値打ちがあるとでも思うか！　我らはそのウルトラ一族の小倅に用があるだけだ」
「なんだと？　ふざけるなテメェっ！」
　激高するゼロを偽インペライザーからの声があざ笑う。
「ヒントはここまでだ。先が知りたければこいつを倒してみるがいい。もっともこんな前座も倒せぬようではこちらも張り合いがないというもの。せいぜい頑張ることだな！」
　いうが早いか直進しゼロを襲う機械獣。負けじと組み合うもののパワーの差はいかんともし難く、防戦一方に追い込まれる若きウルトラ戦士！



take-40　→
https://www.alldesu.com/diary/78913



←　take-38
https://www.alldesu.com/diary/78869