<『史上最低の侵略』その26>
A
take-26
NOVEMBER 8TH AM 12:10
“ソラ、ゼロ、大変よ!”
“どうしたんだい。ウミ?”
希望のツバサとなっているワルキュリアのコクピットで、レーダーを見ていたソラと、彼と共にあるゼロに語りかけてきたのは、ソラの恋人であり、また、地球人とは兄弟と言ってもいい、月星人の一人である、ウミだ。
“今、名古屋上空のワームホールは、地球に最も近い次元の門と、連動しているわ。
冥王星のカロンのそばにある次元の門より規模は小さいけど、この太陽系やその周辺にある次元の門では、一番不安定な次元の門を、何者かが越えて地球にやって来ようとしているわ”
“何だと? 下手したら別な宇宙からも来るってことか!?”
尋ねるゼロにウミが答える。
“その可能性が決して低くないわ。ソラ、ゼロ、気をつけて”
以前にウミが教えてくれたが、この宇宙の遥かなる場とも別な宇宙とも繋がる次元の門。その一つが地球を挟んだ月の反対側に存在している。
オカルトでは暗黒の月と呼ばれているそれは、確かに存在するとも。
月星人は平和を尊ぶ種族だが、その超能力を活用し次元の門を監視していた。だが月が侵略されたことで、その最悪の門の1つから彼らは去らざるを得なかった。
長い間その門は開くことも閉じることもなかったが、活動期に入ったのか最近は特に不安定だという。
「タカフミさん、サヤさん、急ぎましょう!」
「よっしゃ!」
操縦しているタカフミが応え、音速を越えている希望のツバサは更に加速し西へ飛ぶ。
「目標確認。ワームホール開きます。あ、あれは!?」
東海地区の海上を飛ぶ希望のツバサ。レーダーを見ていたソラですら、ワームホールから出てこようとする存在に、思わず絶句した。
「何あれ? グロいにも程があるわ!」
「ホンマや! まるで内臓を裏返しにしたような怪獣や」
サヤやタカフミの声と同時に、ゼロが緊張するのをソラは感じた。
“ソラ! あれは、スペースビーストだっ!”
“何だって?”
“間違いねえ! あのハイパーエレキングを飲み込んだ化け物と同じ種族だっ!”
スペースビーストは、恐怖を糧に肥大化する。しかも徹底的に焼き尽くさなければ、驚異的な生存力で増殖する。
「タカフミさん、サヤさん、あの怪獣を、名古屋市内に降ろすのは危険過ぎます。セントレア空港に誘導しましょう!」
希望のツバサから、個性的な三機の超戦闘機に分離して、謎の怪獣を名古屋市からセントレア空港へと威嚇しながら誘導していく。
“久しぶりに、歯応えがありそうな敵が出たな。ソラ、オレはいつでもオッケーだぜ!!”
“こいつを地面に降ろしたら、行こう!”
ゼロの声に応えたソラの左胸に、輝きが集まり始める。
バロンから、スペシウムミサイルを撃ち込まれ、セントレア空港の滑走路に転がる、スペースビースト。
ソラはワルキュリアをAIモードに切り替え、左胸の輝きから実体化したウルトラゼロアイの金色の瞳を、自らのオッドアイに重ねた。
「おっ、サヤ。ソラ。ゼロやで!」
セントレア空港の滑走路で起き上がろうとしたビーストの背中にキックを決め、再びビーストを沈ませる派手な登場をした若き戦士こそ、今や正式な地球の守り手たるウルトラマンゼロだ!
“久しぶりに歯応えがありそうな敵じゃねえか”
“降伏勧告は聞きそうにないな。何だか君を旨そうに見てるようにしか見えない”
“へっ、オレが煮ても焼いても食えねえことくらい知ってるだろうが! 行くぜえっ!!”
頭部から離れ両手に飛び込んできたスラッガーを手に、ゼロは恐怖のスペースビーストに突撃していく。
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コメント
もも
2022年 01月14日 00:34
頑張って下さい
ふしじろ もひと
2022年 01月14日 06:38
もも様おはようございます。
ちょっとした苦戦になります。