父は晩年に漢方医学の勉強に打ち込み、医学関係の古典書を多く読みふけった。僕は腰痛の関係で教えられた事を2つ思い出した。いずれも餅関係。「餅は腰を強くする」、「餅は春の食べ物である」。内、腰の件はよく判らないが、腰に限らず、神経や筋肉を強める物質が含まれているのだろう。あるいは、未知のビタミンかもしれない。腰の具合はかなり良くなったが、餅で腰が強くなるのならばそれに越した事はないから、これから食べたいと思う。「餅は春」が本題である。
江戸時代の春とは、立春から立夏を指した。又は、旧暦正月以降。現代の暦では、2月から4月までである。確かに、時代劇でも判る通り、江戸時代の人々は旧暦正月からお餅を食べ始め、旧暦2月にあった春分の時はぼた餅、つまり、あんこや黄な粉をまぶした餅を食べていた。桃の花が咲くころの、現行暦の4月にあたるひな祭りは、桜もち・草餅・ひし餅。桜餅も今みたいにあんこに小麦粉の皮を巻くようなものではなく、桜の葉が入った餅だったかもしれない。そして、飛んで現行暦の6月初めの端午の節句で何故か餅シリーズは終わっている。秋分にはおはぎはあるが、餅ではない。春分は昔はおはぎは食べなかった。
今調べてみたが、餅には銅とモリブデンという物質が含まれているし、白米やパンよりもはるかに消化が良い。一方、春は非常に気候の変化が激しく、自律神経も狂いがちである。花粉症や五月病も深刻である。ひょっとして、餅の中に含まれる物質の中には、自律神経も安定させ、体調も整わせ、花粉症や五月病などを防ぐものがあるのではないか。分析化学はまだなかったにしろ、経験医学として餅の効果が実証され、食べられて来たのではないだろうか。
ただし、以上以外、現行暦で7月から1月までは餅は食べられていない。信州では「夏に餅を食べるとおできになる」と言い伝えられていたそうだが、腫物はともかく、その間は気候との関係から食べてはいけない理由が何かあったのだろう。
現代日本人は一月に集中して餅を食べる。昔の日本人が食べ始めていた2月は食べない例がほとんどである。医者ではないから詳しい事は判らないが、お餅の健康効果は非常に薄いのではないか。江戸時代のように、現行暦で2月以降、餅を多くの人たちが食べたら、花粉症や五月病はどうなるだろうか。
明治の初め、西洋に合わせて日本人は旧暦を捨て去った。国粋主義を名乗った第二次世界大戦中も旧暦を復活させなかった。これもおかしかったと思う。また、そのころはドイツの真似ばかりした。本当に国粋主義ならば旧暦も復活させるのに。この件は題とずれるから今日は話さないが、旧暦の生活には相当経験科学的なものも含まれていたと思う。これからでも参考暦として、復活させた方が良いように思われる。旧暦生活は日本、更には、琉球、朝鮮半島、中国大陸、ベトナムの人たちに非常に合うものがあるはずだから。その他、江戸時代にはリサイクル文化もあったし、朝鮮王国や清帝国とも平和的な外交ができていた。戦争はしなかった。封建的な面もあったにしろ、これからの日本とアジア、世界作りに参考になりそうなものがたくさんあるはずだ。個人の生き方の参考も。過去をバカにする事はできないだろうが。とにかく、歴史から大いに学ぼうではないか。
コメント
Yoshi
2021年 03月30日 10:26
餅は正月に食べるイメージが強すぎですよね
美味しいし 腹持ちもいいので 年中食べられてもいいのですが~
イメージが強すぎて・・・餅も可哀そうですね^^;