その言葉の意味とイメージを見てみよう。まずは、その言葉の意味は、簡単に言うと「結びつく」になろうか。それを歴史から見ていきたい。


　　封建時代は、明らかに「イエとイエの結びつき」を意味した。どの国や地域でも政略結婚も行なわれた。身分違いの結婚は許されない事がほとんどだし、対立関係にあるイエ同士もそうだった。その中世ヨーロッパの様子は、シェイクスピア著「ロミオとジュリエット」の悲劇で伝えられている。実際はどこの国でも同じ事も起きていたわけである。封建時代においては、結婚は人々を幸福にはしなかったし、特に女性たちは結婚後はイエの奴隷みたいになり、忍従を強いられた事は時代劇や時代小説からも皆様もよく知っている事だろう。日本においては、明治時代（１９世紀後半）にできた大日本帝国憲法でイエ制度が強く現れていた事もあり、１９４５年の終戦まで、女性たちの状態は以上の通りだった。


　　２０世紀後半以降は世界的に、イエ制度は衰退し、結婚においても以上の事は薄らいだ。個人と個人が中心になっていった。それは進歩であり、喜ばしい事であるが、「結びつき」という意味は変わっていないわけである。結びつきの瞬間みたいな事を世界中の人々は連想するようになった。それは具体的に何かと言えば、結婚式と初セックスである。日本人の場合、戦後は特に結婚式＝結婚とイメージングし、それだけを思いこむ人たちが増えた。又、性の解放が進み、初セックスをイメージングする人たちも日本でも非常に増えている。

　　ところが、結婚式も、初セックスも刹那の一つに過ぎない。実際の夫婦の暮らしは、どちらかが天国に行くまで続くわけである。でも、結婚なるものが本当に以上の２つだと思いこんでいたら、結婚式か初セックスで結婚は終わりになり、セックスも次第にマンネリ化して飽きていき、かと言って、交際時代から他の事はイメージングしていないから、まともな夫婦愛も作れず、次第に相手がうるさくも感じられるようになり、嫌いにもなり、不仲になっていく。子供の有無に関わらず、離婚にも。こんな事ではないか。子供ができても愛のない冷たい家庭になる。特に、子供にしわ寄せが。心愛ちゃんが父親に殺されたのも、背景にはそのような事もあるし、殺されなくても、犠牲にされている子供たちは非常に多いわけである。

　　結婚できても以上の通りだし、実際は結婚式やセックスは人をつないだり、愛を作る・希望をもたらす事はあり得ないから、多くは結婚を求めても非婚になるし、まともな恋愛も不可能である。

　　　ならば、提言するが、結婚という言葉は追放して、代わりに「夫婦になる」という言葉を使ったら、どうだろう。夫婦から連想されるのは、愛と希望を持ち、支え合い、死ぬまで続ける地味な共同生活の事である。または、どちらかの死後も相手を深く思い、精神的には結びついている状態。世界の全ての人たちがそのような言葉を使えば、結婚式や初セックスを目的とした結婚も消えて、深い夫婦愛に満ちた夫婦がたくさん生まれ、心愛ちゃんみたいな例もなくなると思うが。更には、人格レベルの愛になるし、交際の時からその結婚生活も想像し合うから、身体や目、耳などに障碍がある方もその対策も考え合い、出し合う事ができるし、その他の結婚に関する諸々の社会的差別も緩和か、消滅さえもするのではないかと。とにかく、結婚式と初セックスばかりでは、身体障碍者はどうにもならないし、難病でセックスができない人たちもたくさんいるわけだから。「セックスできない人は夫婦になれない」としたら、それも差別である。

　　「言葉」は全ての人々の深層心理を操り、心を支配し、社会も作る力がある。ならば、その言葉を変えれば、以上も変わり、社会も良くなり、希望と愛に満ちるようになる事も可能である。