ウサギとカメの童話から
皆さんもその話はよく知っていますね。ぼくも小さい時からおばさまに聞かされ、よく知っています。昔、ウサギさんとカメさんが話をして、小山の下まで走る競争(きょうそう)をし、気をゆるめたウサギさんがとちゅうで昼寝(ひるね)をして、少しずつ走ったカメさんに追い抜かれ、カメさんが勝ってしまうお話ですね。小さい時の僕もゲラゲラわらいながら、聞いていました。今もときどきテレビでこの話も見ます。
子供の時のぼくはわらうだけでしたが、ラジオで聞いた話、その話を聞いたある小学生が「ならば、カメさんは昼寝のウサギさんを起こせば良いのに。カメさんもずるいよ」と言った事を聞いた事があります。カメさんも一人一人話すことがちがうから、中には起こすカメさんもいるでしょう。そのばあい、話はどうなるのですかねえ。
もちろん、競争はウサギさんの方が勝ちますね。はやさでは、かなわないし。でも、カメさんもゆっくりとながら、最後まで走り、ゴールするでしょう。しかも、ウサギさんはカメさんに起こしてもらったわけです。かんしゃの気持ちも出るわけですね。「一応は勝ったけれど、カメさんに起こされて勝った。カメさんにはありがたく思うし、何よりも恥ずかしい」という気持ちがウサギさんにわくにはちがいありません。また、それにひきかえ、最後まで一生けんめいに走ったカメさんをえらいと思い、ウサギさんは頭を下げて、「この間はバカにしてわるかった。ごめんね」と言い、カメさんは「ウサギさんこそ、競争に勝ったからえらい」と言い、二人は親しい友だちになる。そんな事も僕は考えました。
体やとくいなことはちがっても、相手の良い所はみとめ合い、心開いて付き合える友だちはだれでも大事ですね。カメさんはたしかに走るのがおそいかもしれませんが、例えば、海をおよぐのがとくいなど、すぐれたものもあるわけです。もし、水泳競争ならば、カメさんの方が勝ちますよね。
ウサギさんだけがすぐれているとはかぎらないわけですね。面白いと。