まず、参考図書=NHK宗教の時間「新約聖書のイエス・福音書を読む」廣石望著。
参考放送=同上名。NHK第二放送。6月9日放送。6月16日午後6時30分再放送。廣石望講師。
聖母マリアが聖霊の導きによって、処女のまま、神の子のイエスを腹に宿したという話は、神話かもしれないにしろ、それ自体が衝撃的で、信仰の別なく、今でも世界中の人達の心を捉えて離さない。その事は現代科学では証明されていないが、否定も難しく、また、今の科学では判らなくても、はるか未来の科学では証明されないと断定もできないわけで、否定もできないと僕は思っている。科学は常に発展途上で、信じてはいけないものだし。何分、宇宙の物質の85%くらいは「見えない物質」という現代科学では判らないものである事が近年になり、判ってきたところだし。したがって、どのように科学が推移するのかも誰にも読めないわけである。
科学はともかく、廣石氏は牧師ながら、マリア処女懐胎の話をすそ野を広げて、客観的に調べている。それによると、その話のルーツは、ギリシア・ローマ文化だそうだ。それらでは、皇帝などの英雄が神話の神を父親に持つ例が多いとか。それで皇帝や英雄の権威付けを行なったわけだが、その流れで新約聖書も書かれている面があり、それに旧約聖書に根差す「メシア予告」も合わさり、あのようになり、それ故にギリシア・ローマ文化に根差す流れのヨーロッパに広まったと、廣石氏は述べている。(同様の文化の流れのロシアもだと僕は思うが)。
ならば、元々キリスト教はヨーロッパとロシアに広まりやすい面があったわけだ。地理的に言うと、ペルシャで起きたゾロアスター教(拝火教)がヨーロッパやロシアに広まってもおかしくなかった。アメリカの科学系の本で「ゾロアスター教がヨーロッパに広まったのならば、非常に早くに物理学と化学が発達しただろう」と読んだ記憶もあるわけだし。でも、歴史はそうはならなかった。その理由の一つも以上だったのかもしれない。もっとも、非常に早くに物理学と化学が発達したら、わがままな王が戦争の武器作りに利用して、早くに爆弾や毒ガスもでき、大変な事になったと僕は見ているが。まだ今の歴史の方がマシなのかもしれない。
とにかく、書物や歴史を客観的に見ていく事は面白いし、勉強にもなるわけである。