新元号「令和」にも因んでくるし、若い時からの僕が追い求めてきた事でもあるので、ここで書かせてもらう。


　　結論から書けば、どちらも「人格の認め合い」から始まるわけである。又は、相手の気持の尊重とか。端的な例は新約聖書に記されているイエスの行動である。身障者、取税人、ハンセン氏病患者、娼婦という、特に当時のパレスチナ地域で人格が無視されている人たちに対しても「あなたは何をして欲しいか」と一人一人に聞いて、それに応じた事をしたり、助言もした。愛の前にイエスは「一人一人の人格」を認めていたわけである。そこからすべてが始まるわけである。シャカも、周利槃特という、記憶力が難しい、現代日本のお坊さんの一部には、知的障碍を持っていたという説まであるような弟子を、認めて、独特の教えを彼に与えて、修行を成功させている。宗教や地域の違いを越えて、イエスとシャカは「人格認め」を行なっているわけである。


　　孔子は「和して同ぜず」など、和を説き、日本の聖徳太子も和を尊重した。でも、それも一部で言われているような、和＝酒などを一緒に飲んで仲よく、ではないだろう。そのような事ばかりしても、社会や国が成り立つわけもない。孔子も、聖徳太子も、社会や国の成り立ちを考えた訳だから。和も人格の相互の尊重から始まると言わざるを得ない。また、互いの人格を認め合わない関係は、いくら酒を一緒に飲み、仲よくしようとしても、少しのきっかけで互いを見下し合ったり、意見やエゴが衝突し、ケンカにもなるわけである。

　　周囲の人たちから人格が認められなかった場合、その人は大変辛い想いをして、落ち込む・無気力になるわけである。あるいは、半人前に見られる＝子供扱いされる事も辛いと。昔、僕の訪問したＳ園では、大人の園生が多くの職員に「ちゃん」付けで呼ばれるなど、子供扱いされ、おかしかった。更に、例えば、日本のアイヌとか、ヨーロッパのユダヤ人やロマのように、生まれだけで人格が周囲の人たちから認められず、差別されている例も多い。精神障碍者も世界的にそうだと。外国の映画にも精神障碍者への差別発言が非常に多く聞かれ、僕は問題に感じている。そのような人たちは常に傷ついているわけだし、もっと大事なことは差別する人たちも特定の人に対してだけでなく、全ての人の人格を余り認めていないわけである。それ故、差別する側も、常に寂しさを感じていたり、何かの拍子で結婚しても、夫婦仲がよくなかったりもするわけである。

　　　差別解消の手段の一つも、互いの人格を認め合う事だし、人格には本当は愛や和を作るだけの大きな力があるわけであるが。来たるべき令和の日本社会は全ての人の人格が認められる社会になって欲しいし、それが世界に広まり、黒人差別やパレスチナ紛争などのない世界にもなってほしいです。

　　もう一つ。最悪の事を言います。人格認めのない極端な姿は、戦争・虐殺です。戦争を起こす国は、その前に必ず人格軽視の様相が出ます。人権・人格尊重の気風が浅かった第二次世界大戦前の日本やドイツはその典型でした。日本の場合、関東大震災の後の朝鮮系の人たちが民間人に多数殺された事件とか。売春宿が大儲けするなど、女性の人格が著しく損なわれていた件も。男性への徴兵制もその一つですね。一方、ヒットラーは各人間を何かのサンプルとして見て、ユダヤ人たちに医療用の人体実験をしたわけです。人を何かのサンプルに見てはいけません。Ｓ園でも、一部の園児は医者の人体実験にされたと聞いた事もありますし。