南宋・楊万里の百家渡を過ぐ・四絶句の其一
過百家渡・四絶句
出得城来事事幽/渉湘半済値漁舟/也知漁父趁魚急/翻著春衫不裏頭
城を出得で(いでで)来たれば、事事、幽(しず)かなり/湘を渉(わた)り、なかば斉(わた)りて、漁舟に値(あ)う/也(ま)た知る、漁父の魚を趁(お)うに急なることを/春衫を翻し著(さ)て、頭を裏(つつ)まず。
城=町。出得=出る。事事=あらゆること。渉湘=湖水を渡る。済=川を渡る。値=出会う。漁父=漁師。翻著=風にひるがえすように着ている。春衫=春の着物。不裏頭=ずきんを着けていない。
街を出れば、非常に静かになるな。湖を半分渡った所で、小さい漁船に出会った。その漁師がせわしく魚を追うのはわかるが、春の着物が風に吹かれながらも、頭巾を着けていないとは。
まず、中国で「城」という言葉は町です。日本みたいに各地にお城はなかった。皇帝に権力が集中していたから、日本みたいなお城はできなかったわけです。
それにしても、中国の春の湖水のおおらかな様子が判りますね。帽子も着けなかった。それだけ暖かい様子が。写真欄には、昔風の中国の漁船が夕陽に金色に照らされた素敵なものがあったので、ご覧ください。観光用のものでしょう。今の中国も漁船も現代化されています。