1950年に始まった朝鮮戦争から、1975年に終わったベトナム戦争の期間の日本・世界の経済である。両戦争共、アメリカ軍は戦地国のほか、大規模な戦闘支援のため、かなり離れた国々にも展開し、事務活動などをしていた。膨大な軍隊数だったそうだ。当然、遊びや飲食に大量のお金をばらまき、世界中の経済を潤していた。沖縄だけでなく、日本にも非常に多くのアメリカ軍が来ていたし。旧ソ連でも北朝鮮やベトナム支援のため、国営の兵器企業が大量の武器を作り、大儲けして、そこから経済が潤った。また、朝鮮戦争とベトナム戦争の間も、中東やアフリカ、インド周辺で戦争が多発していたため、同様にアメリカ軍が世界に展開し、旧ソ連も大量に武器を作り、戦争に備えていたわけである。
安い石油や若者が多い人口構成のほか、以上も日本やヨーロッパのかつての経済成長の要因である。
ところがIT化が進み、戦争になっても後方支援はコンピューターに任せるようになり、多くのアメリカ軍が世界に展開する必要もなくなった。戦争しても儲からなくなったわけである。1991年の湾岸戦争の時もそうなった。戦争による経済恩恵が日本にもなかった。その戦争で儲からず、逆に落ち込み始めた一因もそこだと思う。でも、戦争と経済の関係は考察が遅れているらしく、公には論じられていない。
マルクス経済学で言う所の下部構造の経済に戦争が絡んでいるのならば、上部構造の一つである福祉も冷たく、残忍なものになるのではないか。冒頭に書いた時期、ヨーロッパでは精神障碍者が徹底的に隔離・監視され、日本でも精神障碍者はもちろん、らい予防法や障碍児教育の無策もあり、ひどかった。歴史は繰り返さないにしろ、そのような時代の再現はしてはならないと思います。