トシコロさんの日記

2022年 07月21日 13:30

実録小説・シマハタの光と陰・第26章・みじめ

(Web全体に公開)

 労使交渉は、雨の降る4月8日(月)いっぱい続けられたが、妥協点は見出せず、9日朝9時から組合員はストに突入。持ち場を離れて、職員宿舎の食堂に陣を張った。非組合でストに批判的な職員や、ボランティアで駆けつけた園児の家族が介護にあたるが、何分、人出不足。普段の半分もこなせない。

  人の気配が少なくなったため、精薄室の園児たちもおかしさに気が付いた。不安感から「アーアー」と叫ぶ園児も複数いる。水を飲みたくなっても、与えてくれる人はいない。彼らなりに厳しい状況はわかっている。

  身障室の様子も普段と様変わり。いつもは普通にパンツにズボンやスカートを履いている人も、朝からおむつをつけられている。秦野幸雄は職員たちの経済状況を理解し、ストの間は厳しい状態になることを予測、覚悟を決めていた。これに対し、高田勝男は職員にお金がないことは判りつつも、なぜ来なくなったかが判らず、最初はぼやき、昼食が遅れたり、排便ができないことに怒りを感じていった。ほかにも、「何で来ないんだ」とぼやく者、「のどが渇いたよ」と叫ぶ者。

  女子室。亀田安子もおむつを朝からつけていたが、尿がたびたび出て、次第に外に漏れていった。それが目に見えるまでになる。恥ずかしさ、みじめさで心がいっぱい。冷たささえも気にならないだけ、恥ずかしい。顔を隠したい気持である。その他の女子も同様。みじめさが女子室を取り巻いている。



  ストをしている職員たちも、園児たちを裏切った気持ちも強く、各自が複雑に葛藤していた。

  「このままのお給料ならば生きていけないけれど、ストは世話の放棄でしょ。ひと月もそうしたら、園児たちは死んじゃうわ。私たちは人殺しになるのね。罪は重いわ。どうすればいいの」

  そのような声がたくさん聞こえるストの陣営である。企業ストとは様相が違う。深く悩みながらしている。



  9日もストは続いた。林田博士はスト前から、心情的には満額回答してやりたかった。朝食もそこそこに、事務室に急いだ。事務員に

  「経費節減をまず徹底して、そのお金をわずかでも、賃上げにまわしたい。あと、新たな収入方法を検討し合って。このままでは、園児たちは死んでしまう。全額要求はのめないが、7割はのみたい」と叫ぶように話し、スト陣営にも電話で伝えた。

  スト陣営も2時間掛けて話し合った末、提案は受け入れることにして、午後には職場復帰した。短いストだったが、多くの亀裂を生んでいくことになるのである。また、これまでとも違う状況を産んでいくが、それはだれも知らない...。

  雨に打たれて散った桜の花びらが無残に見える。

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