施設と病院は違う。当たり前だが、施設職員は医者やナースほどの医学知識はないし、医療設備も少ない。昔はもっとそうだった。施設化していたせいか、70年代以降の多磨全生園もそうで、病気になった時の元患者たちの誤診が多いと、「倶会一処(多磨全生園患者自治会編・一光社)」に記されていた。僕と親しい元患者の伊藤まつさんも最晩年は最初はすい臓がんと診断され、少しして拒食症に訂正。2つは大違いで、思い出しても呆れる。
島田はもっと変になっていた。僕の行った時は医療設備はなく、職員も看護資格はないのに、帳簿上は病院扱い。医療用麻薬も投与して、医療保険収入を得る有様。9月初めの30度を越える日に身障園生たちは日光浴をさせられ、端から倒れた。一緒に日光浴したこの僕も具合が悪くなったから、はっきり覚えている。職員たちは所長でも医学知識はなかった。当時は引退していたが、小林博士の医学知識もどうだったのか。帳簿の件は役所にばれなかったが、一種の不正。当時の検察は甘かったが、今なら大ごとになった。根本は経済構造にしろ、だからと言って、不正して良いわけはないし、また、医療用麻薬のように必要がない・毒のものを投与することも非常に悪いわけです。
また、不正構造になっていった件、小林博士はどこまで関与していたのだろうか。次第に戦争中の昭和天皇みたに祭り上げられ、浮いた存在にもなったわけだし。難しかった。