明治時代、ロシアに対抗するために大日本帝国政府はアイヌたちの人権を無視した事を数多くした。政府としての反省は国名も変わり、しかもかなり経た１９９０年代の村山政権の時にずれ込んだ。それも問題だが、そこからもっと深刻な差別問題が僕には見えます。当時のロシア帝国への恐怖感であり、さらに深めると、ロシア人への差別意識もアイヌを上回るものである事も察せられます。１８９１年（明治２４年）には、日本に来ていたロシア皇太子が一人の巡査に切りつけれた事件も起きていたし。テロですね。勿論、隣国のロシアに理解を持ち、友好を推進しようとした人たちもたくさん出ている。内村鑑三も日露戦争には反対しました。でも、日本社会の潮流には、ロシア帝国は覇権主義だからダメという思いがあり、そのイメージがロシア帝国とは関係のないロシア人個人個人にも当てはめての差別がある事は十分考えられます。１９１７年のロシア革命で、反革命派の人たちの中には日本に来て住み着いた例も多い。プロ野球で活躍したスタルヒン投手のように成功し、慕われた例もありますが、多くの実態はどうなのか。そのかなりは白人ですぐに日本人と見分けが付くから、見分けのつかない在日韓国・朝鮮・中国人よりも差別は強くなると察してもしまいますが、そのような事を書いた書物もなく、研究も少なく、テレビや新聞も取り上げないから、戦前・戦後・今と実態は不明です。僕も今は在日ロシア人の方とフェイスブックで知り合い、付き合わさせて頂いているから、以上の事も想いを馳せたわけです。そのような縁がなければ、アイヌ関係の番組を見ても、ロシア人の事までは想いが及びませんよ。

　　ソ連崩壊後、日本に移り住むロシア系の人たちも多くなったから、なおさら差別はいけません。

　　１８世紀後半以来、日本とロシアの間には色々な事がありました。チェイホフのような親日家も出ている。日本の独特の文化をロシアの知識人や皇帝は早くからかなり認めてもくれている。でも、戦争などの葛藤を両国民に残した。ノモンハン事件や満州移民などの不可解な日本の行動の一因も、ロシアへの恐怖感が影響しているかもしれないとも考えられます。ロシア側も同じで当時は日本を恐れ、日ソ中立条約はあったものの、互いに不信感を強めた。終戦で力関係も変わり、不信感は残ったため、スターリンによる日本人捕虜の強制労働虐待になり、さらに日本人側の葛藤を深めた。その後も北方領土問題はあり続けている。

　　北方領土問題自体は物理的な事。物理的な事は人間は解決できるが、両者に心の壁があると真の対話ができず、解決できない。中国・ロシア間も国境問題はあり、戦闘さえも起きたが、両国間の和解が進み、真の対話も生まれるとそれも話し合われ、双方にプラスになる形で解決が付いた。北方領土問題もそのパターンでなければ解決できないし、竹島・独島、尖閣諸島、中国と韓国の間にある黄海上の小さな群島や、南シナ海の群島の問題もそうだと思う。いずれも、例えば、経済共同特区にして、双方が１００点になるような解決策も真の対話から生まれるわけである。勿論、心の壁が更に厚くなれば、果ては戦争の繰り返しであり、双方がマイナス１００点になるだけである。戦争だけは避けてもらいたいものである。