ふしじろ もひとさんの日記

2021年 03月23日 21:04

私家版(地下版?)ゴジラ案:その34

(Web全体に公開)

*シンクロ

「そ、そんな……っ」
 そういうのがやっとのまま、喘ぐばかりで言葉を継げぬ省次。だが濃緑の女面の形相が、なにより全ての根を引き抜きゴジラに巻き付けたその姿が決して再生せぬままここで死ぬとの英理加の覚悟を刃のごとく突きつける。そのときヘルメットの無線に割り込む山川の叫び!
>撃て、撃たんか。ビオランテが根を引き上げてるじゃないか。今ならゴジラもろとも倒せる。絶好のチャンスだぞ!<
 思わず振り向いたその目が堤防の陰に停められている車を認めたとたん、若者は突き上げる怒りのまま叫び返す!
「黙れ! この人をここまで追い詰めたのはおまえじゃないか。指図なんかするなぁあーーっ」
 瞬間、ヘルメットから溢れ出る混乱の情動に、ようやく機龍に省次の視線が、意識が向く。だが、それがなにを意味するのかを若者が掴むより早く、英理加の声が耳に届く。
「くっ、まだ、動くかっ。撃って! 早くっ」
 視線を戻した若者が絶句する。全身を凄まじい量の根に埋め尽くされ姿の一片も窺えぬゴジラが、脚もろくに動かせないにもかかわらず機龍ににじり寄り始めているのだ。巨体を湾の底に繋ぎ止めていた根を引き上げたためだと悟った省次の目の前で、目も塞がれなにも見えないはずにもかかわらず、ビオランテに反撃するそぶりすら見せずひたすら一歩でも機龍に近づこうとし続けるゴジラ。その姿に若者は悟った。機龍のいる方向を見失わぬためにこそ、ゴジラは暴れずにいるのだと。薄れたとはいえそれでも根に埋め尽くされた全身を灼く溶解液の煙を吹き上げる大怪獣。その下の巨体がどんな状態か、水爆の癒えぬ苦痛に加えそれだけのダメージを食らう苦悶がどれほどのものか想像さえつかない。そんな我が身も省みず、金属に閉じこめられた同胞を救わんとの一念のみに突き動かされているとしか見えぬその姿。そんな巨獣にここを先途と激痛に悶える全身を振り絞るごとくあがきつつ、ありったけの溶解液を打ち込むビオランテ。再び上がる猛然たる煙がひと塊となった二体を丸ごと押し包んだとき、その中から英理加の声が届く。
「撃って。ためらわ、ないで。私は、とっくに、人間じゃ、ないのよ」
「よっほど人間じゃないですか。あなたも、ゴジラでさえ」
 撃てない、撃てるはずがないじゃないかとの思いが一気にこみ上げるその瞬間、ヘルメット越しの機龍の感情が同じ色に染まりつつ重なるや同調する!


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https://www.alldesu.com/diary/73624

コメント

もも

2021年 03月24日 01:02

今夜もありがとうございます

ふしじろ もひと

2021年 03月24日 07:16

もも様おはようございます。
ご覧くださりありがとうございました。

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