確かに、Ｋ氏は聴障も影響して島田療育園や全生園の見方が他の人たちと大きく違った。それゆえ、Ｋに会うことが多かった人からは筆談や手話で「差別的」とか「冷たい」と批判されていた。その「批判」もＫは判らなかったそうだ。両者で不信感が募っていった。
　以上みたいな事は日本各地で昔から起きていたと。戦時中、聴障学校で軍事教練に来た軍人が生徒たちに号令掛けても従えず、怒った事もあったし。聴障への不理解もさることながら、人間の反応は一人一人違うのに、「一様」だと思い込んでいる気持ちが一番の問題ですね。そのような人たちは別の面で身障者やハンセン氏病元患者とは付き合いが困難な面があるし、対マイノリティも勿論、全ての人たちとの付き合いも難しい面がある。
　聴障関係だけでもありません。僕も「いわれなき非難」を受けている面はあるし、加害者になっている面もあるわけです。Ｋを批判した人たちは、自分が加害者になっている事に気が付きませんでした。
　以上は聴障問題も、障碍者・福祉問題もはるかに越えた問題を含んでいます。相手の状況が判らないのに、批判する事はおかしいわけです。