*公開、そして
それから1年近くが過ぎ、ゴジラが日本に現れなかったこともあって、ついに機龍は完成した。政府は内外の報道陣を迎え入れ会見を行った。冷線砲アブソリュート・ゼロの発射実験映像も公開され、その威力にどよめく報道陣を前に技術解説を任じられた山川が声を張り上げていた。
「しかしながら機龍の動力は電力です。これを一発撃つだけでエネルギーの実に6割を消費し、稼働時間は20分にまで制限される。当然自衛隊はいうに及ばず、同盟国アメリカの助力も頂いてやっと防衛作戦の態を成すのが実状であります。侵略兵器に転用できるのではとの近隣諸国の懸念は無用であるとここではっきり申し上げます!」
アメリカは知っていると省次は察した、機龍が原子炉を内蔵していることを。もはや機龍は、すでに両国の間で世界戦略の中に位置づけられているのだろう、自分の願いなどとはかけ離れた形で。そんなことを考えているところへ山川に突然名前を呼ばれ、省次はあわてて立ち上がった。開発陣の紹介に移っていたのだ。お辞儀をして座ったとたん、ポケットの携帯が振動した。
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自室で開けた画面のショートメールに省次の身はこわばった。そこには「私の研究のことで話がある」との一文と住所、そして「ビオランテ」との署名があった。
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コメント
もも
2020年 10月16日 06:20
展開が楽しみです
ふしじろ もひと
2020年 10月16日 18:12
もも様こんばんは。
次の回の結び、いささかエグいかも……(大汗)