*機龍開発の経緯
相手が絶大な破壊力を持つゴジラであるため、いくら金属製のボディで身を包んでもその装甲だけでは放射能を帯びた熱線さえ吐く難敵の攻撃を防ぎ切れないのが明らかだったため、開発の上では機動力の点でゴジラを凌駕することが大きな課題とされた。装甲を厚くしても猛攻を凌げないのならば、機敏さにより相手が間合いに入るのを回避しつつ遠方から攻撃するべきだとの方針が採られたのである。それは機龍に搭載できる限られた量のエネルギーから最大限の活動時間を得る上でも欠かせぬものだった。
それでも当初の計画で動力源とされた充電方式に頼る場合その戦闘可能時間は1時間にも満たず、必殺の対ゴジラ冷線砲アブソリュート・ゼロを使えば一撃で全エネルギーの半分以上を使うため、行動できる時間はわずか20分余り。短時間でのゴジラ殲滅が被害を抑える上でも理想とはいえ、状況の変化に対応する余裕すらない作戦遂行を強いられることになるのは誰の目にも明らかだった。ゆえに山川プロジェクトリーダーが主張する国際合意に背いてでも極秘に核動力炉を搭載すべしとの案に省次は抵抗したものの最終的には押し切られ、この時点で機龍の操縦についても内部にパイロットが乗り込む案は放棄されて遠隔操作による案に一本化された。
そのため機械で動く機龍の回避行動を補助する手だてとして、ゴジラの骨の中に残存していた神経細胞の活性化をはかることが検討されるに至った。省次の専門はロボット工学だったが、いつ来襲してもおかしくないゴジラとの乱戦で回避行動を制御できる性能のAIを開発するには年数がかかり過ぎるためだった。だが武部に芹沢一族について調べさせていた山川は、やがて一族迫害の元凶ゴジラへの憎悪から白神と名乗りつつ密かにゴジラ細胞を研究していた英理加の存在を突き止める。彼女の研究はゴジラを倒す方法にこそ至ってはいなかったが、研究に欠かせないゴジラ細胞の活性化には既に成功していた。山川はそんな彼女にもプロジェクトへの参加を持ちかけるが、本性を見抜いた白神はそれを拒否する。諦めぬ山川は省二が参画していることも伝えつつ執拗に食い下がるが、怒りを爆発させた白神に面罵される。
「あなたのような人がいたから、芹沢大介は死ななければならなかったのよ!」
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コメント
もも
2020年 10月13日 07:08
出動してから現場に着くまでの時間は「1時間」の中に入っているのですか?
ふしじろ もひと
2020年 10月14日 05:35
もも様おはようございます。
行動可能時間ですからもちろん入っています。ただゴジラは海から陸上へ上がってくるので機龍の基地もなるべく移動に時間を費やさないよう湾岸に設けられていますし、取り外し可能なロケットランチャーで空を飛ぶので、その分の燃料はランチャー自体に積まれています。