浅読みだが、昨日の朝日か日経の新聞に、ある有識者の投稿として、「今年になり、コロナの影響で地方の葬式などが中止や簡素化になり、これまで続いてきた親族や友人の絆も薄れつつある」ことを嘆く記事があった。読んだ後、ふと思った。２０００年以降、日本の地方での親子間や、祖父母・孫の殺人事件の報道が増えている事を。毎年のように、ニュースや新聞で見聞きしている。また、親の遺産を巡り、兄弟姉妹が激しいケンカをする事も当たり前みたいになっているのも、僕もよく聞く。親の葬式が終われば、遺産争いになる例が非常に多いとか。


　　ならば、そのような現実を差し置いて、絆や愛情がコロナで薄れたと言えるのだろうか。コロナに関係なく、すでに絆や愛は地方でも薄れていたのではないか。嘆くならば、コロナ以前の問題を嘆くべきだと。

　　時はさかのぼり、僕の青春時代の１９８０年前後。都会では親子殺人や自殺が増えた。「自殺の名所」と呼ばれた高島平団地に行ったわけだし。当時はまだ地方では、そのような報道はなかった。でも、報道がなかっただけで、実際はどうだったのか、判らない。さらには、地方でも「親の遺産争いが地方でも深刻」だと当時の僕も多くの筋から聞いていた。実際は、その投稿記事のような「絆と愛」は地方でも上べだけの事が多かった点も考えられる。投稿した人は、そのような話は聞いた事がないのだろうか。それが地方でも、後年はクレジットが普及し、お金を使う事も多くなったから、より遺産争いが深刻化しているのかもしれない。お金だけでも原因はない。僕もうまくは書けないが、地方でも増えた親子間の殺人事件は単に経済が原因とも言いにくいからだ。きっと原因はたくさんあるのだろう。中途半端な愛と絆しか持てなければ、ケンカや殺人になるのかもしれない。それなら、いっそのこと、ここで絆と愛を断ち切って、新たに作り直した方が良いのではないかと思う。僕もかつて中途半端な仲間関係から離れて、少しして学問や医学などを通して、真の交友関係を作っていった経験もあるから、このような事を思うわけだ。

　　最後に、人間の遺伝子の１００％近くは共通しているから、通じ合うものがある。一度、中途半端な関係を壊しても、新たな絆と愛を人間は作るものである。失ったものを嘆く必要はないと思うが。以前よりも、優れた絆と愛を作ればよいではないか。