ふしじろ もひとさんの日記

2020年 07月03日 21:48

『阿修羅の子ら』前書きおよびスケッチその1

(Web全体に公開)

 今回連載させていただくのは、本拠地たるmixiにてとある方とリレー形式で書いたウルトラマンゼロの俗にいう二次小説の最初のものです。
 ここではペンネームの頭文字のAさんとさせていただきますが、Aさんはちょうどデビューから10年目を迎えるウルトラマンゼロの熱心なファンであり、ご自身で彼の物語を書きたいと独自の設定で小説を書き始め、面白いと思った僕が感想を差し上げたりするうちに合作というお話をいただいたのでした。
 ウルトラマンゼロがウルトラセブンの息子というのは円谷プロによる設定ですが、その他の人物や各種設定はすべてAさん独自のものであり、怪獣や宇宙人は円谷のシリーズに登場したものが多数を占めるものの、件のポンポス星人5人組はAさんの手から生まれたものです。ただこのリレーを始めるにあたって僕がこんな具合でいいかポンポス星人のパートを試し書きさせていただいたところAさんがずいぶん気にいって下さり、以後彼らのパートはもっぱら僕が書かせていただくことになったという経緯があります。

そんなわけで今回からは3夜、僕としても思い出深いその初めての試し書きをご紹介させていただきます。というのはリレーの本番ではmixiのコメント欄における2000文字で1回というルールを基本としていたのですが、この習作は字数制限を無視して書いたため優に3倍くらいの字数になっていますので本番と比べていただくのも一興かと思いますし、特に今回ご紹介する彼らが地球に来てから貧窮生活に陥るに至った経緯は本番では紙数の関係上まるごとカットされていますから。



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夢野市旧湾岸通。開発の波が他の区域に移って久しく、老朽化した建物の姿ばかりが目立つ翳濃き区域だ。そこにはまるで吹き溜まりのごとく、雑多な人々がそれぞれの事情を秘めつつ互いの目を避けるように暮らしている。

宇宙から訪れた者でさえ、その例外ではない。

これまでにも難民としてつましい平穏を得ていた者や、侵略者として暗躍していた者もいたこの区域。その外れに建つ廃ビルに潜む一見密入国者としか見えぬ5人組もまた、母星から送り込まれた侵略の尖兵には違いなかった。

この地球を訪れる多くの侵略者たちとの違いがあるとすれば、それは彼らの印象のリアリティが巧妙な偽装によるものではなく、その境遇からおのずと滲み出ずにいないものだった点であろう。事実彼らの実態は、侵略者というより不法入国者のそれによほど近いものであった。地球征服という高邁な使命感よりも年金に保証された安楽な老後を夢見つつはるかな銀河を渡ってきた彼らを待っていたのは、地球を丸ごと覆い尽くす恐怖の暗雲だった。甘い夢に浸り敵状の把握を怠った彼らは、よりによって暗黒大皇帝エンペラー星人による地球侵攻の真っただ中に到着してしまったのだ。彼らの自負ほど強度の高くなかった宇宙戦艦は渦巻く暗雲に呑まれた瞬間もろくも瓦解し、搭載する備品もろともマリアナ海溝の藻屑と消えた。命からがら脱出した彼らは街を蹂躙する巨大ロボットインペライザーの足元を征服する相手であるはずの地球人と一緒になって逃げ惑うしかなく、一時は使命もへちまもないままウルトラマンメビウスとGUYZの苦闘に声援を送りながらも一喜一憂するばかりだった。そんな苦難を経て脱出するすべもないまま地球に居ついてしまった彼らに追い討ちをかける生活苦が、お世辞にも人を騙す才に長けているとは言い難い彼らの乏しい演技力では望めぬまでに難民らしい風貌をもたらしたのだから、世の中なにが幸いするかわからない。

それだけの苦労をしながらも、というよりむしろ苦労するがゆえに、彼らは安楽な老後を夢見るのをやめず、極貧の中をやりくりしながら地球侵略の準備に邁進し続けた。むろん短期アルバイトや期限付きの派遣でなんとか食い繋ぐ身であるから計画は遅々として進まなかったが、それでもゴミ捨て場の家電をバラした部品からペットボトル入りの元がなんだったか分からない液体に至る怪しげな物資が廃ビルの階段や踊り場にまで溢れ出ていた。現状の困難にめげず未来への夢を胸に頑張り続ける彼らの姿は、忘れかけていた大切なものを教えられる思いさえするほど前向きなものであり、分析力や判断力など侵略者たる者に欠かせぬ資質がことごとく水準に届かないという致命的な欠点にもかかわらず、なにがしかの敬意を抱かせずにおかぬものがあった。侵略者としてやってきたのでなければ、彼らポンプ座ポンポス星人と我ら太陽系第3遊星人はよき友人同士でさえありえたかもしれない。

そんな彼らがゴミの山から持ち帰ったものに潜むものが、そしてそれを追ってきたものが、もともと豊かと言い難い自らの想像力をはるかに超える事態をもたらすことなど、具なしカレーにパンの耳を浸して食べるのに忙しい5人のとうてい予期しうるところではなかった。

コメント

もも

2020年 07月04日 03:00

合作だと作風を同じ様にしないとバラバラになっとしまいますね

ふしじろ もひと

2020年 07月04日 07:34

もも様おはようございます。
本編に入ればお分かりいただけると思いますが、このシリーズでは主人公サイドをもっぱらAさんが、ポンポス星人や僕の側からのゲストキャラを僕がという具合に、おおむねキャラクター主体で分担していきました。

Yoshi

2020年 07月04日 09:13

ふしじろ もひとさんは いろんなとこで ご活躍されているんですね~
まぁ これだけ才能があれば 当然でしょうけど^^

ふしじろ もひと

2020年 07月04日 09:32

Yoshi様おはようございます。
いえいえ、ただの道楽です(大汗)

もっさん

2020年 07月04日 10:18

安楽な老後を夢見て
日々アルバイトに精を出すポンポス星人
異星人というよりもとても身近な存在に感じます。
ポンポス星人の活躍(?)を楽しみにしています。

ふしじろ もひと

2020年 07月04日 14:28

もっさん様、こんにちは。
ゴキブリから進化した宇宙人にもかかわらず、とにかくやたらと所帯じみているために、ご覧くださった方の中にはご飯あげたいとおっしゃった方さえおられたのですが、今回のお話の続きのリレーでは彼らの食欲がいかほどのものか知らずに雇ってしまったばっかりに、かつて父親がウルトラセブンに倒された敵討ちにとやってきた双子のくそ真面目なサロメ星人たちが悲惨極まりない目に遭うという『史上最低の侵略』というお話もありますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです(苦笑)

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