マルクスを「500年に一度の傑物」と評した哲学者がいたようだが、僕が近代の歴史の流れを見た限りでは、むしろ、デカルトだと思う。彼は本当に思想は勿論、社会、政治、経済、福祉などの流れをヨーロッパだけでなく、日本含む、世界に作った。神父に聞かなければ判らない事だが、キリスト教だけでなく、全ての宗教の信仰にも強い影響を与えたようである。まさに「500年に一度の傑物」であり、ものすごい天才でもあったと思う。それ故に僕は敬意は持っているし、誰もあなどることはできないと思う。ナポレオンも、アダム・スミスも、マルクスも、ニーチェやヒットラーも、デカルトにはかなわないだろう。
ただし、世界は刻々と変化しており、デカルトの敷いた路線に多くの矛盾が出ているのは事実である。人知は万能ではない。どんなエリートの知も。だから、エリート官僚支配体制のソ連はアフガニスタン侵略という過ちも侵し、その10年くらい後に潰れたのではなかったか。又、ハンセン氏病元患者などの、諸々の差別問題も人知では対応できるだろうか。唯脳論では、脳は一つ一つ違うから、どんなに話をしても(種類の別なく)被差別者の気持ちは判らないわけである。因みに、被差別者同士の気持ちも「判らない」という厄介な問題もあるわけである。脳性まひ者同士の話し合いもうまくいかない場面も僕は目撃してきたし。まさに「知の限界」を実感してきた。
ニュートンが物理法則を書いたが、光速の問題を契機にアインシュタインがそれを書き替えた。それと同じ事が世界中で世界観について今は起こり始めているようだし、そうしないといけない時期に差し掛かっている。とは言え、アインシュタインが新しい物理法則を書いても、ニュートンの法則はインチキにはならず、功績や尊敬は変わらないように、デカルトの功績と尊敬は否定してはならないとも思う。
ものすごい時代に我々は生きているものである。