１９８４年だったと思うが、ある教派の教会で新約聖書の説教の時に僕もそれを聞きました。その前からその個所はよく知っていましたが、単なる人助けだと思っていたわけです。そのように思っている人も世界的に多いと思います。でも、少し違った。要するに、敵の民族の強盗被害者を見て、「大変だな」と思い、介抱したり、宿賃を支払った。そのままでは、死んでしまうほどの重傷でした。その説教を聞いて僕も素晴らしく思い、以前からあった「仲間だから、友人だから助ける」という発想は狭くて、ダメだと思ったわけです。狭い発想に次第に陥ったから、７０年代の首都圏の福祉関係は行き詰まり、身障会に至ってはケンカも起きたと。


　　　ところが、それから３０年経ち、インターネットで検索したら、大体、以上の時くらいから、その教派の一牧師が少女レイプを繰り返し、また、それを牧師会が隠ぺいし続けた。でも、次第に内部告発や被害者やその母親たちが告訴して、隠ぺいもできなくなった。レイプ犯の一牧師の他、隠ぺい工作した牧師たちの名前もインターネットに載っていましたが、何と、以上の、「良きサマリア人」を教えてくれた牧師の名も載っており、その牧師は裁判の時に参考人にもなっていたわけです。法律的にはともかく、隠ぺいした以上はレイプの共犯者ですね。島田療育園の人体実験手術と変わらないだけの大罪です。殺人の次くらいに重い罪の共犯。

　　ならば、以上の説教はウソだった事にもなってくる。「良きサマリア人」の反対の事をした。教会組織にこだわり、牧師間の仲間関係を愛に優先させた。聖書には「小さき者を尊ぶ」事も記されているのに、それにも反した。

　　　隠ぺいは友情とも違います。真の友情があれば、レイプした人にそれを止めさせ、被害者に謝罪を求めるのに。何でしょうか。組織こだわりの結果ならば、それも良くないし、また、単に仲間を甘やかすだけのものが仲間関係ならば、それも愛や友情にも反していますね。

　　　その教派は明治から愛と仲間意識の混同が強く、戦後の場合、仲間意識から仲良し関係が発展しての男女の結婚も多いですが、結婚後は合わず、離婚も多い。牧師もそれで離婚した例もあるとか。更には、ルター派やカトリックの人たちも「我が派も同じです。例えば、会組織のために日曜学校をしているわけです」という内部批判の声も聞いています。

　　　因みに、問題は１９８２年から起きていたのに、長い間伏せられて、９０年代後半からその牧師は女性信徒たちから叩かれ始め、２１世紀になり、強まり、今はその教派全体を叩く人たちが増えています。信徒外の人たちも強い言葉で非難しているわけです。これもオウム真理教事件の影響なのかは検証できませんが、日本人たちの意識が確実に変わっている事を示しているように僕には思えます。

　　　また、以上の経過があり、僕は聖書の「サマリア人」の所が非常に理解できている。これも極めて皮肉に思います。何と表現すれば良いか、判りません。レイプされた元少女たちも、それを上回るる幸福を神は与えて下さる事をせめても信じたいです。また、それ以上に、僕も今後も「仲間意識と愛の混同」という共犯者にならないようになることが大事ですね。その２つを混同する人たちはみんな共犯者ですから。男女も、五体満足の人たちも、障碍を持つ人たちも。島田療育園の元園生のＭ氏は「ボランティアは愛で行なうもの」だと教えてくれましたが、ボランティアに限らず、全ての事はそうでなければなりません。その事は別の機会でも話すでしょう。