それは人間を一くくりに見てしまう事である。本当は一人一人個性や人格があるのに。例えば、「身障者」、「高齢者」、「引きこもり」。更には、「労務者」、「在日韓国人」。もっと大きく、「アメリカ人」、「ロシア人」、「中国人」。．．．．。そのように見られて、良い気持ちがする人はいないだろう。


　　早い話、若い時は勿論、２１世紀初めまでの僕がそうだった。よく「障害者は○○だ」と若い時は会合で話したものだ。その後、障碍には種類がある事を知り、「脳性まひ者は」とか「脊椎損傷者は」みたいな発言したり、文に書いていたが、くくった見方には変わりがなかった。そのくせ、他人から「身障者は○○だ」と言われると、非常に不快な気持ちになっていた。

　　多くの他人を見ると、同様である。身体障碍者を一くくりに見ては、トラブルを起こすボランティアの人たちも方々で目立った。クリスチャンの人達も同じで、それで「差別的だ」といつも怒って、ケンカばかりしていた身障を持つクリスチャンの人もいた。その人とはよく話をしたが、何故、そうなるのか、彼も、僕も判らなかった。彼はそれで深刻に悩んでいた。ウィスキー中毒で彼は早くに天国に行ったが、あるいは、その悩みもウィスキーに走らせたのかもしれない。理由が判らなければ、対策も、反論もできないわけだし。また、身障者には、自分たちを「障碍者」と一くくりにして考える例も多く見てきた。でも、ボランティアの人たちに、一くくりに見られたら怒るわけだから、尚更、おかしい。


　　そう言えば、学校時代の先生たちもそのような話し方が目立った。中には「ユダヤ人はお金に執着して、ずるいの」と生徒たちに話した先生もいた。ユダヤ系の人たちが聞けば、大変な事になる発言である。生徒たちも同様の発言が目立った。誰も変だとは思わなかった。

　　最近の僕は気が付いた。マスコミ論調のほとんどがそのような見方・発言だから、それを小さい時から毎日毎日聞いていたら、自然にそのような発想にもなり、人をそのように見ちゃうのではないかと。でも、他人からそのように見られる・言われると、人格などを否定された気持ちになり、激怒するわけである。つまり、以上は明らかにマスコミ中毒の一症状である。今騒がれているゲーム中毒よりもひどいと思う。明らかに人間関係を阻害しているから。


　　歴史の針を僕の生まれる前に戻そう。日本が中国やアメリカと戦争していた時のラジオや新聞の論調はどうだったか。一くくりに「鬼畜米英」とか、「日本勝った、日本勝った。シナ負けた」みたいなものが一色ではなかったか。一くくりの見方は、戦争が一たび起きると、相手の国の人達は単に「殺しの対象」になってしまうのだ。戦前の日本人もマスコミ中毒には違いなかったと思われるし。恐らくはドイツでも同じで、それ故にユダヤ人を一くくりにしたナチス党が人気を得た面もあると思う。枢軸国だけでもない。すでに非常に早い時期から、世界中の人たちがマスコミ中毒になっていたのではないか。そして、マスコミにつられて、その論調から一部の立場の人達を叩く。戦時体制では、ドイツのユダヤ人のように虐殺される例も出たと。根は深い。


　　無論、一くくりに人を見る癖が強ければ、交友は難しいし、恋愛や結婚は不可能である。特に戦後の日本はマスコミの発達が著しいから、今の非婚化の根の一つになっているかもしれない。

　　また、多くの作家や評論家、宗教家の本を見ても、以上の見方が目立つ。それゆえ、ブログなどに引用できないものも多いわけである。

　　無論、以上はマスコミ中毒の例の一つに過ぎない。気が付き次第、書いていきたい。