まず、アルカイダやＩＳの人たちの言う所の「アラー（神）」とは何だろう。イスラムのアラーも、全人類に通じるものだが、テロリストのそれはイスラムの人たちにも通じないものだ。それどころか、テロリスト同士も仲が悪く、殺し合いばかりしている。そこに彼らの極端に寂しい心が僕には見えたわけだ。


　　　それは１９７０年代前半に日本でテロや殺し合いを起こした連合赤軍にも言えた。赤軍メンバーは無神論者ばかりだったが、革命も本当は全人類に通じるもののはずなのに、仲間内にも通じない「革命行動」をしていた。おかしかったと思う。実際、そのメンバーの、特に主犯格の永田洋子に関わった瀬戸内寂聴尼は「洋子さんには、極めて孤独なものを私は見たの」とＴＶやラジオで述べていた事を僕は数回聞いている。


　　どちらも、何かの理由で他人とのつながりを欠いた状態である事も見えると。世界中の人たちが心つなぐ状況があれば、以上のテロは起きただろうかと思われるのだ。

　　その根を非常に掘り下げれば、案外、僕の見てきた諸々の問題の根に通じているのかもしれない。例えば、他人や社会との共有を求め続けた４０年前の首都圏のボランティアの青年や身障運動家たち。最初は良かったが、後に人体実験などのおかしなことをするようになった例のＳ園。キリスト教では本来は神がつなぎ役なのに、「つなぐものは何かね」と探し求めていたクリスチャンや神学生の若者たち。その中には、つなぎ役＝セックスだけと述べていたクリスチャンも数人いたし。僕の述べられる事ではないだろうが、アイルランドの神父の性事件多発も入ってくると思う。無論、東日本大震災後に言われた「絆」の問題とか、労働者の過労死、多発する孤独死、結婚難の問題も。

　　とは言え、何故か、例えば、「弱さの共有」という僕の人生観を述べると、「私もそうよ」と言わんばかりに心通じる人々も出てくるから、これまた不思議であり、面白いとも思う。絶望的な現代社会にも、光が差す事もある。それ故、僕は特にそのような人たちを親友と呼び、尊敬もし、非常に大切にしている。誰にしろ、孤独な社会の中で、例えば、幸福な結婚縁ができるパターンの一つもこのようなものではないかと。とにかく、その現代社会の改善法は、そのような親友や、独身者はそれに加えて、心のこもった関係の恋人や配偶者を作っていく事かもしれないと。いくら絶望的な状態でも、良くする策は何かあるわけであるから。