トシコロ

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トシコロさんの日記

2019年 04月20日 13:39

実録小説・シマハタの光と陰・第9章・職員たちの痛み

(Web全体に公開)

  水上勉氏の総理大臣への働きかけも空しく、昭和39年(1964年)もシマハタは職員の人手不足に悩んだ。林田博士も方々に人集めの声を掛けたが、想う通りに集まらず、腰痛や過労で休職に追い込まれる職員が跡を絶たない。


  「園児たちの世話はやりがいがあるけれど、腰がガンガン痛み、歩くのもやっとなの。ものすごく悲しいけれど、田舎の実家に帰り、治るまで休ませていただきたいです」と言われると、林田博士も医者としても反対するわけにもいかないし、博士自身も非常に辛い。他にも「肩がハンマーで叩かれたように痛い」、「腕が鬼に引っ張られているように痛い」などの例が多い。

 

  「何とか手はないものだろうか」。

 

  林田博士は職員たちや後援会の関係者とたびたび人手不足の対策を話し合ったが、具体的な案は出なかった。ひざ痛や腰痛をおして、介護を続ける若い職員たちを見ると、心痛んだ。

梅雨になれば、さらに腰やひざがシクシク痛む職員も多い。それらをかばいながら、障碍児のトイレなどの介護をかなりの職員が毎日していた。

  そんな中、職員たちはラジオから流れる明るい歌に慰めを得ていた。梓みちよの「こんにちは、赤ちゃん」、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」は職員たちに人気があったし、身障児や知的障碍児たちも聞いて喜んだ。テレビからは午前中はNHKの「おかあさんといっしょ」が流れ、特にぬいぐるみ劇の「ブー・フー・ウー」は子供たちが大変喜んだ。奇数月の夕方は、大相撲中継。大鵬と柏戸という若い横綱が力を増し、迫力満点の土俵を演じていた。知的障碍児の中にも相撲がかなりわかる子もいた。「大鵬、がんばれ」とテレビの前で叫ぶ子も。夜は漫画をかなり見た。特に、土曜日7時からの「鉄腕アトム」は子供たちの他、職員たちも一緒に見て楽しんだ。画像はすべて白黒だったが、十分面白かった。

  昭和39年には東京オリンピックがあった。「オリンピックより、福祉に予算を使え」と前から言っていた職員も多かったが、始まると皆そのテレビ中継に熱中した。特に、女子バレーボールの日本対ソ連の決勝戦は。でも、林田博士はほとんど見ず、お茶を時々飲みながら、日本地図を見ては職員の大募集計画を立てていた。

  「東北地方は女子労働希望者が多いし、心が優しい人たちも伝統的に多い。東北地方から職員を集めよう。特に、東京の真北に当たる秋田県は特に職員希望者が多そうだ。各新聞社、地方新聞社、NHKなどの放送局にもたくさん声を掛けて...」と内心思った。テレビはバレーボールの日本勝利を報じていたが、博士はそのようなことは耳に入らなかった。

シマハタは、あわただしさの中、時間だけが無情に流れていった...。

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