今日は、南宋時代の方岳の「春思・二首」の其二です。
春風多可太忙生/長共花辺柳外行/与燕作泥蜂醸蜜/纔吹小雨又須晴
春風(しゅんぷう)、可とすること多くして、太(はなはだ)忙生し/長(つね)に共に、花辺(かへん)、柳外(りゅうがい)に行く/燕(つばめ)の与(ため)に泥を作り、蜂には蜜を醸(かも)し/纔(わず)かに小雨を吹きては、又た、須(すべか)らく晴れるべし
春風さんは皆にやさしいから、忙しい。いつも花咲く所や、柳のある郊外に出かけていく。燕さんの為には、巣に使う泥を作り、蜂には蜜を用意し。ひとしきりの小雨の後は、晴れにしなければならない。
中国古典詩には珍しく、風物を擬人化し、メルヘンチックに歌っています。現代人にも受けると思います。これを選んでよかったです。春ののどかな風景。現代中国や日本にも共通の光景。アメリカもそうかもしれない。フォスターの「ふけそよそよ、春風よ、吹けそよそよ柳の枝に」も僕は連想してしまいました。その歌もいいですね。悲しみも少しあって。脱線しますが、琉球語や日本古語の愛にあたる言葉は「かな」。悲しさが語源ですからね。
中国でも、日本やフランスでも良いですから、一緒にいる姿を思い浮かべるとまた楽しい。日本ならば、落語の「長屋の花見」も思い浮かべますね。
写真は何かの花の下の中国服を着た娘さんですね。中国の春らしいと思うから。