今日も漢詩の講座を聞きました。その一つ、秋らしい詩を紹介します。宋代の梅尭臣（ばい・ぎょうしん）の作った雑詩絶句十七首の一つの「其十三」。
　　度水紅蜻蜓／傍人飛款款／但知随船軽／不知船去遠
　　水を度（わた）る紅蜻蜓（こうせいてい）。人に傍（そ）いて、飛ぶこと款款たり、
　　但だ、船の軽さに随（したが）うを知りて、船の去りて遠さをしらず。
　　紅蜻蜓＝赤とんぼ。それが川を渡っていく。とんぼたちは人を追うようにゆっくりと。
　　船の進む速さにはついてきているけれど、すでに遠くまで来たとは、トンボたちは思っていない。
　　秋らしい詩ですね。だから紹介するわけです。日本の場合は「夕焼け小焼けの赤とんぼ」の情景がふさわしいですが、中国はねえ。スケールが違うから。「川」も日本の琵琶湖よりも大きく、船でなければ渡れない所だし。海みたいなもの。それを赤とんぼの群れが。インターネットで検索しましたが、残念ながらその光景はなかったわけです。
　　僕が想像するに、赤とんぼは１０万匹くらいの大群で、それが１面に海みたいな所を飛んで行く光景だと。想像すると、気持ちも大きくなりますね。
　　その雄大な光景をできる限り、想像してみて下さい。